渋谷区五島洋税理士事務所渋谷区五島洋税理士事務所



最近「預金封鎖」という言葉をよく耳にします。一般的にはあまり聞き慣れない言葉ですが、最近ではそのままずばりの題名で本なども発売されています。この言葉、一部の人にはかなりの関心を集めているのです。

そもそも預金封鎖とは何のことでしょう。預金封鎖とは単純にいうと一定の間、預金が引き出せなくなることです。戦前の金融恐慌では、銀行などの取り付け騒ぎのときに銀行を閉めて取り次ぎ騒ぎを抑えるということがあったようですが、ここでの預金封鎖はそういう意味ではありません。

最近話題になっている預金封鎖とは、預金を封鎖することによって各人の財産を把握し、その財産に対して財産税という税金をかけることを意味しています。実はこれ、実際に日本でも昭和21年に実施されています。

当時は次のような手順で実施されたようです。

1.政府が国民に向け「預金封鎖と新円切り替え」を宣言

2.預金を封鎖し、個人の財産を把握

3.新円切り替え期間を限定し実施。(旧円は使えなくなる)銀行窓口で交換させ、タンス預金やアングラマネーをあぶりだす。

4.お金を全部あぶりだした段階でその財産の額に応じて最高で90%の税金がその財産にかけられる。


この理不尽な手法は、明らかに合法的泥棒といえます・・・。(もともと税金自体が泥棒と考える人もいますが・・・)

この合法的泥棒といわれる手法がとられた背景を簡単に説明するとこうなります。

戦争突入

国の方針により、金融機関が軍事産業に融資

敗戦、軍需産業の破綻

金融機関に大量の不良債権が発生(貸してたお金が返ってこない状態)

国の方針であったため、国が補償をしなければいけないが、政府にお金はない

貸したお金が返ってこない穴埋めとして預金をカットして辻褄を合わせた。


そしてこのまったくもって理不尽な預金封鎖、なんと今の時代でも行われる可能性が出てきたのです。
現在の状況を簡単に説明するとこうなります。

景気が悪い

国債を発行して公共事業を実施

景気がよくならない

税収が上がらない
(税収は国の売上、景気がよくなればここで売上が上がるはず)

借金を返せない

預金封鎖の実行・・・


現在国と地方の借金を合わせると800兆とも900兆円(国民一人当たり700万円以上)ともいわれております。それに対し税収は50兆円程度。そこでこの借金の穴埋めをするために(財産がある人ほど多く税金を払うのだからという変な理屈ですが)、預金封鎖→財産税という荒療治に出るのではないかといわれはじめました。単に1400兆円ある資産に30%の財産税で420兆円、50%で700兆円ですから、これほど簡単な解決策はそうは見当たらないのは事実です。(インフレもひとつの解決策ですが、インフレの場合、それこそお金が紙くず同然になる可能性がかなりあります)

もちろんこれは理屈の上の話ですから、実際に行うとなるとかなりの問題があると思います。前回の昭和21年のケースでは、日本はGHQに支配されてましたからことはスムーズに運びました。現代では財産税の法律を国会で通さなければなりません。これには与野党問わずかなりの同意が必要なはずです。与党だけで法律を通しても、次の選挙での政権を維持はおぼつきません。また、財産をどう確定するかという問題もあります。金融資産にだけを課税対象とするのか、借金などの負債は控除するのか、不動産などにも対象とした場合の、その評価はどうするのか等々。これらを考慮すると、公平な形での導入はかなり難しいと思います。

今のところ、財産税が導入されるかどうかは全くわかりません。ただし、もしもこの預金封鎖が本当に導入されたとしても、過剰な反応をせずにすむような資産形成をしていくということが肝要ではないでしょうか。

※国債のリスク
国債の場合、いくら発行しても買う人がいる間は半永久的に問題はありません。現状では国債は、銀行や個人で安全な金融商品として買われています。しかし、もし国債を誰も買わなくなったら(株への投資、信用不安など)どうなるでしょう。これは金利を上げて魅力的な商品にするしかありません。そうなるとどうなるか?世の中の固定金利以外の全ての金利が上がります (インフレの始まり) 。そうなると借金の大きい企業や住宅ローンを抱える家庭には大きな打撃となって跳ね返ってきます。そうなればまた景気の回復は遠のくだけでなく、さらに悪化するといわれています。国の借金が増えるという以外にこうしたリスクがあるという意味からも、国債の乱発は非常にリスクがあるといえるでしょう。つい数年前のアルゼンチンなんかもこの典型で、国は壊滅的にな打撃を受け、今やアルゼンチンは経済的な側面で、非常に危険な国のひとつといわれるようにまでなっています。