渋谷区五島洋税理士事務所渋谷区五島洋税理士事務所


「変わらずに生き残るためには、自ら変わらなければならない」

平成18年5月24日

――民主党代表の小沢一郎氏は、47日、党代表に就任する決意をこう表明しました。「豪腕」「壊し屋」と評される小沢氏がどう自分を変えようとしているのか、多くの人が関心を持ったことと思います。

もともとは、イタリア映画『山猫』のクライマックスで使われたというこのセリフ。じつは、企業経営にも大いに通じるものがある――私はそう考えます。「変わらずに商売を続けていくためには、自分(経営者)こそが変わらなければならない」ときがあるのです。今回は、「経営者が変わらなければならないとき」について、考えてみたいと思います。

時代の変化につれて、求められる商品やサービスも変わる。頭ではわかっていても、自分の商売のスタイルやポリシーを変えるのはそう簡単なことではありません。私がお手伝いをしているA社長を一例に挙げましょう。

A社長の会社は50年ほどの歴史をもつ中小メーカーです。以前は大手企業数社をクライアントにもち、経営は順風満帆。「いい仕事をして、いい製品を作ればお客は自然とついてくる」――技術畑出身のA社長は、その信念のもと技術者を育て、会社を経営してきました。そのいっぽうで、新規市場の開拓はなおざりにされていたようです。とくに営業に力を入れなくとも、大手クライアントがついている以上は問題なかったわけです。しかし……。

時代は移り変わります。一大クライアントであった大手メーカーが、生産拠点を中国にシフト。その結果、売り上げが激減します。給料削減を強いられ、借金も増えていく。資金繰りに追われ、優秀な技術者は辞めていく。瞬く間に、赤字会社へと転落してしまいます。

私がA社長に出会ったのは、まさに坂道を転げ落ちた後でした。とにかく、このままの状態ではジリ貧です。新規市場の開拓、新技術開発、リストラクチャリング、なんらかの新しい方策を打ち出していかなければならない。私はそう訴えました。

むろん、社長自身も、「いままでと同じやり方では駄目だ」ということはわかっています。しかし、長年の経営スタイルが体に染み付いてしまっているのでしょうか。頭ではわかっていても、腰が上がりません。「どういうふうに、何を変えたらいいのかわからない」と言うのです。

 「どう変わったらいいのか」――正しい答えを見つけだす方法があるならば、経営に苦労はありません。それがわからないから、みな試行錯誤し、多くの失敗のなかから、成功への道筋を見つけていくのです。私は、お手伝いしている企業に、さまざまな提案はいたしますが、それが正しいかどうかはわかりません。
「結果」を正しく予測することは、誰にもできないのです。

大事なのは、「変える」ことです。いまの状態で経営が上手くいっていないのであれば、何かを変えなければならない。とにかく、変わるために動くことが先決です。

小沢氏の場合、最初に「変化」が見られたのは、就任直後の千葉補選でした。あの強面の小沢氏が、自転車に乗って民衆に訴えかけるなどのパフォーマンスを繰り広げたのです。それが正しいやり方だったのかは、わかりません。ただ、自分に変わることを課した小沢氏自身にとっても、自己変革の大きな一歩になったはずです。

「変わらなければならない」といっても、自分の「核」まで変える必要はありません。小沢氏にしても、政策にブレのないところが氏の持ち味。しかし、それを「わかりやすく」国民にアピールする努力を怠っていた部分があるのではないでしょうか(ある意味、わかりやすさだけで支持を得ていたのが小泉首相ともいえます)。

A社長にしても技術に対するこだわり、「いい製品を作りたい」という思いは、ずっと持ち続けてほしい。それが最大の強みでもあるわけですから。方法論を変えるだけで、A社長のこだわりをもっと世にアピールできるはずなのです。

「政策」にしても「仕事」にしても、自分の信念を貫いていくには、変わらなければならないときがあります。

それは決して、時代におもねることではありません。自分の会社、あるいは自分をよりステップアップさせる、有意義な「チャレンジ」だと私は考えます。