渋谷区五島洋税理士事務所渋谷区五島洋税理士事務所

会社を作ろう――そのメリットを徹底解説!

平成17年から、個人で消費税の納税義務が発生する売上が1,000万円に下がるのを機に、「会社を作ろうかな」と考えている方が増えているようです。
    「でも会社を作った場合のメリット・デメリットって?」
  
最近よく聞かれる質問に、今回はお答えしていきたいと思います。


    会社を作ると、家賃や光熱費を経費にできるからトクなんだよね」
 それはもちろん間違いではありません。が、じつは個人事業主でも自宅を事務所としていた場合、全部を計上することはできませんが、使用面積などの按分により経費にすることができます(法人の場合もあくまで按分が必要です)。奥さんなどを社員にして給与を出す、というやり方についても、働いている実態がなければ基本的には経費として認められません。さらに法人の場合、赤字か黒字かは関係なく、最低でも
7万円の法人住民税を払わなくてはなりません。

      じゃあ会社を作ると何がトクなの?」
 会社を作った場合の一番の節税は、お金を「給与」でもらうことです。これだけではイマイチピンとこないと思いますので、具体例を出しながら説明していきます。

*例えば次の青色事業者の場合

売上 2,000万円

経費 1,200万円

所得 800万円

所得控除(社会保険料、扶養控除等) 100万円

この場合の税金は、800万円から青色申告控除額55万円を引いた745万円から所得控除の100万円を控除した645万円に対して税金がかかり、所得税だけで96万円の税金がかかります。

*これを会社にした場合

売上、経費、所得控除は同じ

と仮定して

給与を800万円とした場合


  まず会社のほうは利益が出ないため、先程述べた法人住民税の7万円だけになります。個人のほうは800万円の給与の場合、200万円の給与所得控除が使えるため、  800万円―200万円―100万円=500万円に税金がかかり、所得税だけで67万円ですむことになります。
 これは、
96万円−(7万円+67万円)で22万円の節税、住民税も入れれば30万円近くは節税になる計算です。

さらに社会保険に加入せず国民健康保険にした場合、保険料は住民税を元に計算される場合が多いので、住民税の約2倍が国民健康保険料(東京23区の場合)になることを考えると、より大きな効果を得られるといえます。
   
(所得税が安い=住民税が安い=国民健康保険料も安い)

(※給与所得控除額とは給与所得者の税金を計算する場合の概算経費にあたるもので、給与の金額に応じて変動します。)

ここでのポイントとしては、以下の3つが挙げられます。

   「どれぐらいの売上規模から有利になる?」

      「給料の額はいくらにすればいい?」

      「社会保険に加入した場合はどうなる?」

  それぞれのポイントについて説明していきます。


「どれぐらいの売上規模から有利になる?」

ここでは売上の規模ではなく個人の場合の所得金額の規模を考えなくてはなりません。基本的には所得金額がイコール給料、給料をいくら以上にすればいいかということになります。

気づいた方もいると思いますが、会社を作った場合の節税というのは、基本的には給与所得控除を使った節税になります。給与所得控除額の最低金額は65万円ですから、この場合だと最低10%の所得税率で6.5万円しか節税にならず、7万円の法人住民税と合算すると逆に5千円高くなります。

そう考えると最低でも180万円の所得があればいいといえるでしょう。

「給料の額はいくらにすればいい?」

給料の額については上で述べたように、個人の場合の所得金額を目安として給料を決めればいいということになります。
簡単に言えば、個人の売上−経費=所得を会社での給料とすればいいでしょう。

しかし、ここでひとつ問題があります。個人で会社を作った場合、その本人が社長になります。社長を初めとした役員の給与は、原則的に給与を定期定額で行ない、改訂する場合は、年1回(事業年度の初めのほう)とされています。毎年所得が余り変化しない方は問題ありませんが、所得の変動が大きく不安定な場合はなかなか給与を決めることができません。決めたとしても思惑通り進まなかった場合、節税どころか大幅な出費につながりかねません。

*例えば先程の例で言えば、

事業年度の初めのほうに売上が下がり給料を年500万円と設定したが、最終的に前年程度の売上が上がった場合

法人は2000万円―1,200万円―500万円=300万円が利益となり

おおよそ40%は法人税等納めなくてはいけないので、

300万円の40%120万円に7万円を加えた127万円が税金となります。

本人の給与は500万円ですから給与所得控除額が154万円ですから

500万円―154万円―100万円の246万円が課税所得となり、

所得税は24.6万円になります。

この場合ですと税金は151.6万円となり大幅な出費になってしまいます。

*また反対に当初売上がよかったため、給料を1,200万円にした場合で
結局前年程度の売上で終わった場合

法人は2,000万円―1,200万円―1,200万円で400万円の赤字ですから

税金は7万円だけになります。

本人の給与は1,200万円、給与所得控除230万円ですから

1,200万円―230万円―100万円の870万円が課税所得になり、所得税は141万円

合わせて148万円の税金となりこれもまた大幅な出費となってきます。

給料は安すぎても高すぎでも効果が出ないのですが、赤字の場合、翌年から5年間黒字と相殺できますから、どちらかといえば給料を高めに設定したほうがいいといえるでしょう。

「社会保険に加入した場合はどうなる?」

 社会保険(ここでは健康保険と厚生年金)については、法人の場合、社員が1人でも加入が義務付けされています。が、現在、社員が1人で社会保険に加入している会社は少ないのが現状です。社会保険に加入した場合、支出が大幅に増えてしまうからです。

*例えば上記の青色事業者で、所得税が96万円の場合、仮に住民税をその半分の48万円とした場合

国民健康保険料は住民時の約2倍で計算するので100万円を超えます。

が、上限が53万円ですから96万円+48万円+53万円に

国民年金の約16万円が加算され、213万円の支出になります。

*その青色事業者が会社を設立して社会保険に加入した場合

健康保険料として約67万円、厚生年金として103万円の支出、

所得税等、全部併せた支出は277になり、

会社にしたほうが出費は大幅に増えてしまいます。

 もちろん基本は義務ですから社会保険は加入しなければならないですが、会社を作る目的が節税でしたら社会保険の加入は避けたいものです。


・その他にも、会社と個人ではいくつか違いがあります。

注意するべきケースを挙げてみると……

・交際費の多い人。法人の場合、交際費が個人に比べて厳格であり、最低でも交際費 の10%が経費になりません。交際費の多い方はその点を考慮する必要があります。

・お金にだらしない人。法人の場合、お金はあくまで自分のものではなく法人のものに なりますから給与以外でお金を引きだすことはできません(もちろん経費ならOK)。

・白色申告の人。個人のときに帳簿をつける習慣がなかった人でも、会社にした場合、帳簿をつけなくてはいけません。

  また、会社を設立すると、

・生命保険を活用した節税

・資本金1000万円以下の会社の場合、2年間の消費税免除

などいくつか活用術がありますが、このあたりは次回にくわしく解説したいと思います。