「変わる」を考える
2010年01月26日 更新
「変わらずに生き残るためには、自ら変わらなければならない」
イタリア映画『山猫』のクライマックスで使われたこのセリフ。
じつは、企業経営にも大いに通じるものがある――私はそう考えます。
「変わらずに商売を続けていくためには、自分(経営者)こそが変わらなければならない」ときがあるのです。
今回は、「経営者が変わらなければならないとき」について、考えてみたいと思います。
時代の変化につれて、求められる商品やサービスも変わる。
頭ではわかっていても、自分の商売のスタイルやポリシーを変えるのはそう簡単なことではありません。
私がお手伝いをしているA社長を一例に挙げましょう。
A社長の会社は50年ほどの歴史をもつ中小メーカーです。
以前は大手企業数社をクライアントにもち、経営は順風満帆。
「いい仕事をして、いい製品を作ればお客は自然とついてくる」――技術畑出身のA社長は、その信念のもと技術者を育て、会社を経営してきました。そのいっぽうで、新規市場の開拓はなおざりにされていたようです。
とくに営業に力を入れなくとも、大手クライアントがついている以上は問題なかったわけです。しかし……。
時代は移り変わります。
一大クライアントであった大手メーカーが、生産拠点を中国にシフト。
その結果、売り上げが激減します。給料削減を強いられ、借金も増えていく。
資金繰りに追われ、優秀な技術者は辞めていく。瞬く間に、赤字会社へと転落してしまいます。
私がA社長に出会ったのは、まさに坂道を転げ落ちた後でした。
とにかく、このままの状態ではジリ貧です。
新規市場の開拓、新技術開発、リストラクチャリング、なんらかの新しい方策を打ち出していかなければならない。
私はそう訴えました。
むろん、社長自身も、「いままでと同じやり方では駄目だ」ということはわかっています。
しかし、長年の経営スタイルが体に染み付いてしまっているのでしょうか。
頭ではわかっていても、腰が上がりません。
「どういうふうに、何を変えたらいいのかわからない」と言うのです。
「どう変わったらいいのか」――正しい答えを見つけだす方法があるならば、経営に苦労はありません。
それがわからないから、みな試行錯誤し、多くの失敗のなかから、成功への道筋を見つけていくのです。
私は、お手伝いしている企業に、さまざまな提案はいたしますが、それが正しいかどうかはわかりません。
「結果」を正しく予測することは、誰にもできないのです。
大事なのは、「変える」ことです。
いまの状態で経営が上手くいっていないのであれば、何かを変えなければならない。
とにかく、変わるために動くことが先決です。
A社長にしても技術に対するこだわり、「いい製品を作りたい」という思いは、ずっと持ち続けてほしい。
それが最大の強みでもあるわけですから。
方法論を変えるだけで、A社長のこだわりをもっと世にアピールできるはずなのです。
自分の信念を貫いていくには、変わらなければならないときがあります。
それは決して、時代におもねることではありません。
自分の会社、あるいは自分をよりステップアップさせる、有意義な「チャレンジ」だと私は考えます。




